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| メディア関係 |
天田城介(AMADA Josuke)
2007.03.11
●新聞などのメディア等にて天田の名前が(僅かでも)記された報道記事を例外なく以下に記します。
●このページは「単純に」天田が話したことがどのように報道されたのかを記録するものでもあります。
(と同時に、天田が所属する/していた組織の取り組みを中心に取り上げた記事を含んでいます。)
●天田が何をしてきたのか(せざるを得なかったのか?)をも含めて記録しておきたいと思います。
●天田が話したことが正確に記されていない場合もありますが、報道された記事のまま列記します。
●また、ここに(勝手に)引用することの全ての責任は天田にありますので、その点ご留意下さい。
■22 【2007.03.09 東京新聞】
■21 【2006.09.29 京都新聞】
■20 【2005.11.29 熊本日日新聞】
■19 【2005.11.29 毎日新聞・地方版】
■18 【2005.11.08 熊本日日新聞】
■17 【2005.10.27 熊本日日新聞】
■16 【2005.10.18 西日本新聞】
■15 【2005.09.30 熊本日日新聞】
■14 【2005.09.28 熊本日日新聞】
■13 【2005.09.20 熊本日日新聞】
■12 【2005.09.17 熊本日日新聞】
■11 【2005.03.13 熊本日日新聞】
■10 【2005.02.25 熊本日日新聞】
■09 【2005.02.23 熊本日日新聞】
■08 【2004.09.15 西日本新聞】
■07 【2004.07.08 西日本新聞】
■06 【2004.05.20 毎日新聞・地方版】
■05 【2004.05.18 熊本日日新聞】
■04 【2003.12.21 朝日新聞】
■03 【2003.07.28 熊本日日新聞】
■02 【2003.06.15 熊本日日新聞】
■01 【2002.12.04 熊本日日新聞】
【2002.12.04 熊本日日新聞】
グループホームを考えるシンポジウム
2002.12.04 朝刊 地総 (全317字)
◇グループホームを考えるシンポ 痴ほう性高齢者のグループホームについてのシンポジウムがこのほど、熊本市大江の熊本学園大であり、医療、福祉関係者や学生ら約百七十人が参加した。社会福祉法人リデルライト記念老人ホーム主催。
日本社会福祉弘済会の助成を受けて実施した「グループホームに関する調査研究」についての報告があった後、「グループホームの現状と課題」をテーマに話し合った。
シンポジストは深水俊博・県住宅課参事、西島喜義・熊本市健康福祉政策課長、グループホーム「三和の邑」の岸良亜希子主任、天田城介・熊本学園大講師の四氏。「グループホームはフルセットのサービスを受けられないからこそ、地域の資源を活用することが大切」などの意見が出た。
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【2003.06.15 熊本日日新聞】
ハンセン病を再検証 熊本学園大学教授ら研究会
2003.06.15 朝刊 二社 (全434字)
多様な角度からハンセン病問題を検証する「ハンセン病問題研究会」が発足し十四日、熊本市大江の熊本学園大で第一回会議があった。
同大商学部の羽江忠彦教授と社会福祉学部の天田城介助教授が、「裁判やこれまでの研究からこぼれ落ちてきたさまざまな課題を論議し再検証する場を」と呼びかけた。県内外の大学教員、学生、社会福祉、報道関係者らのほか、菊池恵楓園(菊池郡合志町)の入所者も含め約三十人が参加した。
第一回会議では、九大大学院(比較文化社会学)の桑畑洋一郎さん(24)が「沖縄愛楽園入所者の生活史」、京大大学院(都市環境工学)の境野健太郎さん(26)が「邑久光明園の寮舎の変遷」をテーマに報告。参加者と活発な論議が交わされた。
研究会は今後、二、三カ月に一回のペースで開催する。羽江教授は「研究者や入所者を結び付けたネットワークとして、元患者の人たちが地域社会と共生していく状況を展望していきたい」と話している。研究会の問い合わせは天田助教授(電)096(364)8167。
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【2003.07.28 熊本日日新聞】
「ネット」の機能生かせ 熊本市で熊本シニアがシンポジウム
2003.07.28 朝刊 九州 (全368字)
パソコンを通して人と人のネットワーク作りを展開する熊本シニアネット(福岡壽夫代表)が二十七日、熊本市千葉城町のKKRホテル熊本で「シニアの生きがいづくり」と題したシンポジウムを開いた。
同団体は高齢者の孤独をなくすことなどを目的に一九九九年に発足。ネットでの情報交換のほか、釣りやハイキングなどの趣味の交流、ボランティア活動などをしている。現在、メール会員は約七百二十人。
熊本学園大の天田城介助教授や福岡代表ら四人のパネリストによるシンポジウムは同団体の役割を中心に意見交換。「ネットの機能を生かし、自宅にいてもサロンに参加できる仕組みを作る必要がある」「“情報弱者”の救済に社会福祉協議会などとの連携が不可欠」などの意見が出た。
シンポジウムに先立ち、天田助教授が「シニアネットの社会貢献と生きがいづくりの接点」の演目で講演した。
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【2003.12.21 朝日新聞】
鷲田清一 書評委員お薦め「今年の3点」
2003.12.21 東京朝刊 11頁 読書3 写図有 (全486字)
(1)『レイアウトの法則 アートとアフォーダンス』(佐々木正人著、春秋社・2300円)
(2)『午後の蜜箱』(稲葉真弓著、講談社・1700円)
(3)『<老い衰えゆくこと>の社会学』(天田城介著、多賀出版・8500円)
ものの、ひとの、肌理(きめ)に深く感応した書物を三つ。(1)は、「輪郭と言語」に拉致された「物」の世界から、「もの」の肌理が錯綜(さくそう)し変圧しあう知覚と表現の風景を取り戻す、生態心理学の成果。ひとの小さな行為への、骨太の問いかけと繊細な感度とひとを深く愛(いとお)しむ心とが美しく織りあわされている。かつて哲学のものとされた世界への「驚き」が、いまはこの、世界の出現を再定義しようという研究に充満している。
(2)は、独り暮らしのなかの物と音と空気のひそやかな触感をなぞり、絡まりを拒みながらほのかに惹(ひ)かれ揺らいでしまう、他者との不安定な距離感を描いた短編集。(3)は、特養でのフィールドワークをもとにした痴呆(ちほう)性老人介護の研究。言葉の刃とそれを収める諦(あきら)めとが交錯する高齢者の「親密性」の肌理について、私はうんと年下の研究者からたっぷり教わった。
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【2004.05.18 熊本日日新聞】
高齢者に新たな「住まい」 自宅でもない、施設でもない 介護サービス使い少人数「共生」
2004.05.18 朝刊 暮二 (全1,508字)
介護の必要なお年寄りに安心して暮らしてもらおうと、県内のさまざまな法人や民間事業所による、施設でも自宅でもない新しい住まいの提供が始まっている。介護保険の居宅サービスを使いながら何人かのお年寄りと一緒に暮らす方法で、最近は少人数タイプが主流のようだ。
背景には、依然解消されない在宅介護への不安と、そのニーズにこたえる受け入れ先の不足がある。特別養護老人ホームは、県内の定員合計約六千八百人を上回る八千九百三十三人(二〇〇三年七月一日現在)が入所待ちの状態。さらに、痴呆性高齢者向けのグループホームは、乱立による介護保険財政の悪化を防ぐため、「法的根拠はない」(県介護保険課)と認めながらも、県内各市町村は整備枠を設定。五十三市町村が新たな整備を認めていない。
施設やグループホームに代わって最近目立ってきた住まいの形態は、@独立した住まいで外部の介護サービスを利用するA住まいと居宅サービス事業所を併設するB有料老人ホームなどに住み、その中で日常的に介護を受ける−の三つに大別できる。
利用者本位の新たな取り組みとして注目を集めているが、いずれも一つの事業主体が住まいも介護サービスも提供することが多い。住まい部分は、サービスの質を客観的にチェックする「第三者評価」の対象にならないケースがほとんどで、閉鎖的な空間を生み出す危険性もある。
熊本学園大社会福祉学部の天田城介助教授は「ケアマネジャーの中立性が保たれていない現状では、地域の目にチェック機能を期待したい。地域との丁寧な関係づくりが欠かせない」と指摘する。
介護サービスを組み合わせた住まいのほとんどは県への届け出義務がなく「すべてを把握できない」と県高齢者支援課。「定員十人以上の有料老人ホームは、届け出時などに適正な運営になるよう十分指導することができる。だが、それ以外は個人の住まいと同じ扱いになるため、行政目的がないと調査すら難しい」と話している。
●小規模ケアホーム 民家使い家庭的環境
特別養護老人ホームリデルホームなどを運営する社会福祉法人リデル・ライト記念老人ホーム(小笠原嘉祐理事長)は今年四月、民家を使った二番目の小規模ケアホーム「くろかみの家」を熊本市黒髪の住宅街に開所した。「在宅介護が難しくなったら施設に、という流れを断ち切る中間的な住まい。自宅に近い環境と個別ケアで、お年寄りの残存能力の発揮にもつながる」と、リデルホームの小仲邦生施設長。
7LDKの借家に、要介護度が1か2のお年寄り七人が一部屋に一人ずつ暮らす。月−土曜の昼間は全員が同法人のデイサービスを利用。専任職員は置かず、その他の時間は同法人の職員約八十人が交替で対応する。一カ月の費用は、介護サービスの自己負担分を加えて七万五千円前後。人件費を同法人の別の事業で負担し、抑えた。
「家庭的な規模が与える効果は大きい」と小仲施設長。昨年八月に同市坪井に開所した第一号の小規模ケアホーム「つぼいの家」に特養から移った女性は、痴呆の進行が止まり、家事能力を取り戻したため、昨年十二月に在宅復帰した。
さらに、施設のケアを変える契機にもなるという。「職員一人ひとりが個別ケアの大事さを感じ、意識が変わった。それぞれが施設ケアに反映させることで、より在宅に近いケアに変えていきたい」と小仲施設長。
今後は、地域との交流でよりオープンな環境を目指す。「近くの桜山中の総合学習の場に使ってもらったり、地域の一人暮らしのお年寄りに夕食を食べに来てもらったり、地域の人が出入りする仕掛けをしていく」と小仲施設長は意気込む。
【2004.05.20 毎日新聞・地方版】
療養所入所者ら、ハンセン病問題を語る ビデオ上映も−−22日に尼崎 /阪神
2004.05.20 地方版/兵庫 21頁 写図有 (全483字)
ハンセン病問題についてのビデオ上映と講演会「ハンセン病の今を問う」が22日午後2時、尼崎市東難波町4の市立労働センターである。国による強制隔離政策の過ちや責任などを認めた国家賠償訴訟熊本地裁判決から今月で3年。昨年、熊本県・黒川温泉で起きた元患者の宿泊拒否事件などを通して、根深い偏見が残る社会や、今後の課題などについて、療養所入所者らが語る。
市民レベルでの啓発活動を続けている「ハンセン病問題を考える尼崎市民の会」が主催。同会は、国の政策によって作り上げられたハンセン病への差別意識を継承してきた市民の側から、啓発を進めようと、昨年発足した。これまで、講演会や療養所の訪問などをしている。
当日は、ハンセン病問題についてまとめたビデオを上映。熊本県にある国立療養所「菊池恵楓園」で暮らす志村康さんが「解決に向けて残されたもの」、熊本学園大助教授の天田城介さんが「当事者の声と、その根本問題」をテーマに講演する。
資料代500円。市民の会への入会も呼びかけている。問い合わせは代表の長谷川達雄さん(06・6362・7541)。【斉藤貞三郎】
■写真説明 志村康さん
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【2004.07.08 西日本新聞】
佐賀県/ハンセン病テーマに講演も 佐賀部落解放研究所が定期総会
04年度の事業計画採択 唐津市/さがWIDE
2004.07.08 朝刊 23頁 0版23面1段 (全256字)
佐賀部落解放研究所の定期総会がこのほど、唐津市の県解放会館であった。県人権・同和教育研究協議会(佐同教)との協力関係を今後も深め、差別戒名の調査・研究の継続などを盛り込んだ二〇〇四年度の事業計画案を採択した。
約九十人が参加した総会で太田心海・同研究所理事長が「同和教育が部落解放に寄与するよう、発足当時の初志を忘れず活動を進めたい」とあいさつした。閉会後、熊本学園大の天田城介・社会福祉学部助教授による「ハンセン病当事者の声とその根本問題」を題した講演があり、沖縄のハンセン病元患者の差別について話し合った。
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【2004.09.15 西日本新聞】
熊本県/きらっと県北=25日に介護保険学ぶ公開シンポ 荒尾市/くまもとWIDE
2004.09.15 朝刊 29頁 0版29面1段 (全286字)
来春、制度の大幅な見直しが予定されている介護保険制度について学ぶ公開シンポジウム「介護保険見直しの方向を学ぶ−充実した使いやすい制度にするために」が二十五日、荒尾市大正町のメディア交流館で開かれる。熊本学園大学の社会福祉学部設立十周年を記念したシンポジウムで、同学部の主催。荒尾市の後援。
シンポジウムでは、同学部の天田城介助教授が基調講演。老人福祉施設「白寿園」(同市一部)施設長の鴻江圭子さんが施設の立場から、同市上平山の高尾ヒサさんが家族介護の立場から、意見発表する。シンポジウムは二十五日午前十時からで入場無料。問い合わせは熊本学園大=096(364)5161。
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【2005.02.23 熊本日日新聞】
ボランティアを“全国発信” 熊本市社協が呼び掛け よかまちづくり研修会
2005.02.23 朝刊 市圏 (全564字)
熊本市社会福祉協議会(吉村一郎会長)は二十二日、同市花畑町の市産業文化会館で、地域のボランティア活動の活性化を目的にした「よかまちづくりボランティアネットワーク研修会」の最終全体会を開き、今年十月の「全国ボランティアフェスティバル火の国くまもと」で研修の成果を発信しようと呼び掛けた。
熊本市内の校区社協や民生委員・児童委員協議会などのボランティアら約七百人が出席した。「よかまちくまもと−くまもと発! 全国へ!! 福祉(しあわせ)の輪を拡(ひろ)げましょう」をテーマに、パネリストの幸山政史・熊本市長、河野かおる・NPO法人未来の会くまもと代表、天田城介・熊本学園大助教授、潮谷愛一・同フェスティバル実行委員長、吉村会長が、それぞれの取り組みを通してボランティアが地域福祉に果たす役割などを紹介した。
同フェスティバルでも講演予定の上野谷加代子・桃山学院大教授が「ボランティア活動は、問題を抱えている当事者と一緒に、足元の小さなところを見つめることから始まる。全国大会は多くの違う考えを持つ人たちと話し合える機会。大いに盛り上がりましょう」などと呼び掛けた。
同研修会は、市社協のボランティアセンターが二〇〇三(平成十五)年度から三カ年計画で実施。市内の全七十九校区社協に、ボランティア委員会を設置することを目標にしている。
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【2005.02.25 熊本日日新聞】
グループホーム入居者殺害事件…県連絡会が緊急研修会 3月11日、県立劇場で
2005.02.25 朝刊 県総 (全470字)
石川県かほく市の認知症(痴呆症)高齢者グループホームで入所者(84)が殺害された事件を受け、県宅老所・グループホーム連絡会(川原秀夫代表)は三月十一日午後一時から、熊本市大江二丁目の県立劇場で、緊急研修会「石川県のグループホームでの『死亡事件』から学ぶ」を開く。
事件は、グループホームの介護職員(28)が、入所者に石油ファンヒーターの熱風を長時間当てて顔や腹部などにやけどを負わせ、殺害したとみられている。
研修会は、シンポジウム形式で事件を検証し、「小規模ケア」が抱える課題を考える。パネリストは松永正男・県高齢者いきがい課課長、天田城介・熊本学園大助教授、川原代表ら県内のグループホーム代表二人の計四人。資料代五百円。
川原代表は「今回の事件を通して、小規模ケアにはらむ課題が見える。同様のケアを提供する立場として、あいまいに終わらせることはできない。グループホームのほか、宅老所や小規模多機能ホームなど、小規模で夜間にもケアを提供している全事業所に参加してほしい」と話している。申し込みは、同連絡会(電)096(273)1384。
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【2005.03.13 熊本日日新聞】(※以下、新聞に掲載された内容ではなく、草稿段階のものです)
新聞書評.書評「死者が問い続ける「何か」―林力著『山中捨五郎記』」
2005.0313 朝刊
林力、2004年12月10日出版、『山中捨五郎記――宿業をこえて』,皓星社.
ISBN:477440375X,261頁、19cm(B6)、税込\2,520(本体価格\2,400)
ハンセン病患者であった「山中捨五郎」の「息子」である著者によって書かれた本書は、山中捨五郎がハンセン病療養所においてどのように生き抜いたのか、そしてそれを息子である著者がそのことをどのように見つめ続けてきたのかを克明に描いた良書である。
本文中に何度となく引かれるかつての出来事――「くされの子」と投げかけられた経験、父の存在を知って慌てて去っていた恋人、自分も父と同じ「恐ろしい病」を発病するのではないかという恐怖心、父の存在を隠し続け、父の死を痛切に願ったことなど――が著者の受苦の深さを物語る。
本書を巻措く能わざる読了した時の最初の強烈な印象は、この本は著者林力が「林力」へと送り届けるために、つまり自己を宛先に書かれたものではないかというものであった。病を恐怖し、父の存在を隠蔽・抹消しようとした自分への羞恥と自責の念と、愛しき父への敬慕と情愛のあいだで文字通り引き裂かれながら生きてきた著者が自らでは語り得ぬものを自身に向けて語ろうとしているのだ。だとしたら、本書は何を呈示しているのか。
一つには、ハンセン病を生きてきた人びとの苦悩・葛藤・逡巡を、また著者も含めその家族として生きてきた人びとの心のうちの二律背反・亀裂・裂け目を、そしてハンセン病療養所において生きる人たちの不一致・軋轢・対立・断絶を作り出してきた重層的かつ複合的な差別と権力の構造を明示している。だが、より根源的な問題性を投げかけてもいる。おそらく、本書が語らずして語っているのは、たとえ無数の言葉を重ねても「父・山中捨五郎」を、いや「父・馬場広蔵」を記述/表象することが困難であること、言い換えれば「息子」である自らの「声」が決して「父」には届き得ぬという厳然とした現実ではないかと思うのだ。そうであるがゆえに、「父」は「死者」として「林力」に今も語り続け、突き動かしてやまないのだ。その意味では、私たちにも、ハンセン病を経験した死者たちは今も、常に「何か」を問い続けている。私たちはこのことを忘却してはならない。
●評者:天田城介(熊本学園大学教員)
※新聞には書評本の表紙の写真が掲載
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【2005.09.17 熊本日日新聞】
熊本市の健軍地域 誰もが住みよい街に リーダー育成へ勉強会 「福祉塾」県が開講
2005.09.17 朝刊 市圏 (全474字)
県は十六日、熊本市の県営健軍団地の福祉施設「健軍くらしささえ愛工房」で、高齢者や障害者ら誰もが暮らしやすい地域にするためのまちづくりリーダーを育成する「健軍地域福祉塾」を開講した。来年三月まで計十回の勉強会を開く。
住民や校区社協職員、民生・児童委員ら約二十人が出席。同塾の趣旨や、同工房が提供する福祉サービスについて説明を受けた後、一人ずつ自己紹介し、地域の課題を出し合った。
同塾には、アドバイザーとして熊本学園大の天田城介助教授とリクルート九州じゃらん事業の井手修身プロデューサーが参加。今後は、地域アンケートの結果などを基に、ワークショップで課題を把握。先進地視察などを通して解決の方向性を探る。
健軍地域では、県の委託を受けたNPO法人「おーさぁ」が同工房を拠点にした地域福祉づくりを進めている。県福祉のまちづくり課は「同塾で育成したリーダーに、同工房と連動した市民活動を展開してもらい、健軍地域全体に支え合いの仕組みを広げたい」と話している。地域福祉塾は県の本年度新規事業。芦北、鹿本地域でも同様の事業がスタートしている。(田川里美)
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【2005.09.20 熊本日日新聞】
医療、福祉、保健の現場連携へ研究会 熊本学園大で24日に初会合
2005.09.20 朝刊 暮二 (全446字)
医療と福祉、保健の現場の連携を目指す「熊本医療福祉実践研究会」の初会合が二十四日午後二時から六時まで、熊本市大江の熊本学園大四号館四四二教室である。医療福祉の実践者などを対象に参加を呼びかけている。
研究会を開くのは同大社会福祉学部の天田城介助教授。「それぞれの現場で試行錯誤を続けているが、なかなか他の分野との関係や全体像が見えにくくなっている」として、ネットワークを深める場となる研究会を立ち上げることにした。
初会合では同大大学院社会福祉学研究科の学生が「介護保険制度の中でのホームヘルプサービスの困難」「高齢者介護施設における職員の行動規定の陥穽(かんせい)」のテーマで発表する。参加は無料。事前の申し込みは不要。
天田助教授は「介護保険制度改革や医療制度改革、障害者自立支援法案の一連の動きなどに現場はほんろうされている。現場のニーズという原点に立ち返り、自信を取り戻す場にしたい」と話している。問い合わせは、天田助教授のメール(josuke@kumagaku.ac.jp)まで。
【2005.09.28 熊本日日新聞】
差別の歴史、足元から学ぶ 熊本学園大 ハンセン病講義開講
2005.09.28 朝刊 三社 (全526字)
熊本市大江二丁目の熊本学園大で二十七日、ハンセン病問題を多角的に学ぶ「ハンセン病講義」が開講した。国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(菊池郡合志町)の入所者らを講師に招き、来年一月まで計十四回、熊本に軸足を置いた多彩な講義が組まれている。
熊本学園大は全国の大学に先駆け、二○○二(平成十四)年度から三年間、商学部でハンセン病講座を開設。本年度は商学部と社会福祉学部の共通課目として取り組む。
講義は、学内の専任教員のほか、恵楓園や待労院(熊本市島崎)など県内のハンセン病療養所の入・退所者や、英国人女性が明治時代に開設した回春病院の関係者らを講師に、ハンセン病当事者の生き方や、熊本におけるハンセン病差別事件などを考える。
初回のこの日は、コーディネーターの天田城介・社会福祉学部助教授が「自分の問題として、足元からハンセン病問題を見つめ直してほしい」と述べ、講義の意義を説明。羽江忠彦・商学部教授が、患者を親に持つ児童が小学校通学を拒否された「黒髪校事件」(一九五四−五五年)を通して、学園大とハンセン病問題とのかかわりを話した。
講座は毎週火曜日午後一時から、1163教室で。聴講希望者は天田研究室(電)096(364)8167まで。(本田清悟)
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【2005.09.30 熊本日日新聞】
生存権(6)=増える無保険者 医療を受ける機会喪失 負担と保障見直し必要 [第2章]「地方発・憲法を考える」暮らし編 [連載]
2005.09.30 朝刊 二社 (全1,407字)
熊本市役所一階の国民健康保険課。国保の保険料を払えず、納付の延期や減免を求める人の姿が時々、見られる。熊本市の自営業女性(65)もその一人だった。女性は「毎月、いくらかずつでも入金するとの誓約書を書かせられた。窓口に行くのが嫌で、もう保険証は手放そうかとも思った」と苦い経験を振り返った。
夫と移動販売業を営む女性。数十年もの営業努力で商売は軌道に乗り、「現金収入なのである程度、楽な生活ができた」のもつかの間、夫の病気で生活は一変した。
一九八九(平成元)年、夫が難病にかかり入退院を繰り返すようになった。夫はその翌年には自宅のストーブに給油する際、重度のやけどを負いさらに半年間入院。難病は国費で賄われたが、やけどは毎月の入院・治療代が約四十万円もかかった。その後も寝たきりの夫の看病で夫婦ともに働けない期間が続き、借金を重ねた。
当然、保険料も払えない。保険証の更新時には、市役所で住宅ローンや銀行への支払いの詳細を聞かれ、払える金額を算出された。女性は現在、月四千五百円の保険料を三千円に減額され、半年の短期保険証を交付されているが、今後の不安はぬぐえないという。
女性は「何十年も保険料を払ってきて丈夫なときは保険を使わず、本当に医療が必要なときに保険の心配をしなければならなかった。今まで払ったお金はどうなるのか」と訴える。
長引く不景気は多くの失業者、低所得者を生み、この女性のようなケースはまれではなくなった。熊本学園大社会福祉学部の天田城介助教授(32)は、実質的な「無保険者」の増大を懸念する。保険料の不払いが即、無保険につながるわけではないが、更新時のやりとりが嫌で交付を受けない人もいるという。保険が使えなければ当然、医療費は全額負担となり医療を受ける機会は失われる。
熊本市の場合、一年以上保険料を払えない人は保険証を返還しなければならず、代わりに資格証明証が発行される。病院の窓口で医療費の十割を払い後で七割が戻ってくる仕組みだが、天田助教授は「払うべき保険料を差し引かれて戻ってくるので患者の負担は変わらない。これでは病院に行くことをためらう人が増えるばかりだ」と憂える。
実際、同市は昨年度、五百六十五件の資格証明証を発行したが、受診したのは十六世帯にとどまった。
同市の国保の保険料徴収率は昨年度、86・26%。国保会計は昨年度までの累積赤字が約六十六億円に上り、今後十年間、保険料率アップで赤字解消を図る方針だ。所得は上がらないのに、保険料はアップし続けるという悪循環になっている。
同市国民健康保険課の國本秀顕課長は「医療費に対して収入(保険料)が追い付かず、国保はどの自治体でもパンク状態。医療費の抑制が最大の課題だが、少子高齢化など、構造的な問題を解決しないと、国保会計は破たんする」と話す。
天田助教授は「高齢化社会を迎え、医療保険の問題は生存権の最重要テーマ。しかし、現実に無保険者は増えている。だれでも、いつでも医療を受けられるという理念は既に崩壊しつつある。だれがどのように負担するのか、どこまで保障されるべきなのか、見直す必要がある」と訴える。(福井一基)
●憲法第25条
【生存権】(1)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 (2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
【2005.10.18 西日本新聞】
熊本県/水俣学現地研究センター 福祉テーマに公開講座 11月11日から受講生を募集
2005.10.18 朝刊 30頁 0版30面1段 (全453字)
水俣市浜町に八月オープンした熊本学園大の水俣学現地研究センター(宮北隆志センター長)は十一月十一日から十二月九日まで計五回、「地域と福祉を考える」をテーマにした公開講座を近くの市公民館で開く。受講生を募集している。
公開講座は、同センターが住民向けに初めて企画。同大社会福祉学部の教授らが講師を務め、論議が活発化している福祉制度の在り方などを考えてもらう狙い。
講座は期間中の毎週金曜日午後六時半から二時間(初日のみ開講式を行うため午後六時十五分から)。受講料は五回通しで二千五百円。定員五十人。先着順。申し込みや問い合わせは同センター=0966(63)5030。
テーマと講師は次の通り。11月11日=「社会福祉をどう考えるか」(花田昌宣・同学部長)▽同18日=「精神保健と社会福祉」(赤星香世子教授)▽同25日=「障害者の地域における暮らし」(堀正嗣教授)▽12月2日=「地域福祉が拓(ひら)く『誰もが安心して暮らせるまちづくり』」(高林秀明助教授)▽同9日=「老いを生きる意味」(天田城介助教授)。
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【2005.10.27 熊本日日新聞】
「地域福祉の在り方、水俣から問い直す」 熊本学園大 現地センターが講座 11月から
2005.10.27 朝刊 県総 (全396字)
熊本学園大の水俣学現地研究センター(水俣市)は、同学園社会福祉学部の教授らを講師とした公開連続講座「地域と福祉を考える」(十一月十一−十二月九日、五回)を同市公民館で開く。
八月の同センター開設後、初の開催。同センターは「公害病の被害者を抱える水俣から地域福祉の在り方を問い直してみたい」と話している。今後も「環境」「観光」などのテーマで開催する計画。
定員七十人で、資料代二千五百円。各回とも午後六時半−同八時半。問い合わせは同センター(電)0966(63)5030。開催日と講師は次の通り。(並松昭光)
▽十一月十一日 社会福祉をどう考えるか(花田昌宣教授)▽同十八日 精神保健と社会福祉(赤星香世子教授)▽同二十五日 障害者の地域における暮らし(堀正嗣教授)▽十二月二日 地域福祉が拓く「誰もが安心して暮らせるまちづくり」(高林秀明助教授)▽同九日 老いを生きる意味(天田城介助教授)
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【2005.11.08 熊本日日新聞】
ボランティア実践に学ぶ 第14回全国フェスから
2005.11.08 朝刊 暮二 (全2,122字)
「第十四回全国ボランティアフェスティバル火の国くまもと」がこのほど県内であり、県内六ブロックで開かれた四十一の「テーマ別つどい」(分科会)で全国のボランティアや社会福祉協議会職員ら約四千百人が互いの実践に学び合った。災害、観光、福祉の三つの「つどい」のようすを報告する。
[略]
●県央ブロック「地域福祉」 多様な人たちと出会いを
NHK学園専攻科の修了生でつくる「CS熊本」(小玉瑠美子代表)は「地域福祉とネットワーキング−共生社会を目指すために−」をテーマに開催。会場となった定員百五十人の熊本市役所ホールは、地域福祉のコーディネート役を担う社会福祉協議会職員ら県外の参加者でいっぱいになった。
はじめに日本社会事業大の大橋謙策学長が講演。「調整型が重宝された従来のタテ社会が通用しなくなり、一人一人が自立し、自律しながらつながっていくネットワーキング型ヨコ社会への転換期を迎えている。このことをどれだけ多くの市町村や住民が自覚しているだろうか」と指摘。
「このことを理解できる住民ボランティアが増えないと、その市町村の暮らしは豊かにならない」とした上で、「必要なのは地域住民の主体形成のための学びの場。それは単に講演を聴くのではなく、地域課題を発見し、解決するという過程の中で自分の考え方を確立していくという、実践的な学びでなくてはならない」と述べた。
続いて、CS熊本会員で民生委員の藤江京子さん=熊本市=が、同市春日校区のネットワークづくりの実践を報告。NHK学園専攻科CSネットワーク事務局の栗原誠さんが全国の地域福祉の展開事例などを紹介した。
熊本学園大の天田城介助教授は「共生社会と言うのは簡単だが“行うは難し”である。住民が学びを通して多様な人たちと出会うことがネットワーキングであり、そうしてできる地域社会には共生社会を実現する可能性がある」とまとめた。(田川里美)
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【2005.11.29 毎日新聞・地方版】
認知症:男性が“特別講師” 病気への理解訴え――熊本学園大/熊本
2005.11.29 地方版/熊本 21頁 写図有 (全671字)
◇「もう一度働き妻に楽をさせたい」
日本人の認知症患者としては初めて実名を公表して国際会議で講演した越智(おち)俊二さん(59)=福岡市=が28日、熊本学園大社会福祉学部の講義で“特別講師”を務めた。認知症患者が大学の教壇に立つのは珍しい。物忘れがひどくなる不安の一方で「もう一度働きたい」と希望を抱く複雑な心境を語った。
越智さんは04年に京都であった「国際アルツハイマー協会国際会議」で体験を語った。同学部の天田城介助教授が認知症への理解を深めてもらおうと招いた。
47歳ごろから職場までの道を間違うなど物忘れが始まった越智さんは、54歳の時、アルツハイマー病と診断された。仕事を辞め現在は福岡市のデイサービスに通う。この日は紺のスーツ姿で、準備した文章を指で追いながら話した。
「目が覚めるたびに自分が自分でなくなる不安を感じる。国際会議で講演したことも忘れた。会議があった京都は新婚旅行の場所と教えてもらったが思い出せない」。静まりかえる約200人の聴講生。「母さん(妻)には、以前と変わらず生活できるようにしてくれてありがとうの言葉しかない。病気が治ったらもう一度働いて楽にしてあげたい。そんな大事な母さんも忘れてしまうのではないかと不安になるが心に残るはず。大切な一日一日を前に前に生きていきたい」
同行した妻須美子さんは「アルツハイマーは病気であり、偏見をなくし人間として尊重してほしい」と訴えた。越智さんは質疑応答にも応じ、楽しいことは「家庭が明るいこと」と笑顔で答えた。【山田宏太郎】
■写真説明 笑顔で質問に答える越智さん
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【2005.11.29 熊本日日新聞】
「もう一度働きたい」 認知症の越智さん 不安、感謝の思い語る 熊本学園大
2005.11.29 朝刊 市圏 (全658字)
福岡市の認知症(痴呆症)当事者、越智俊二さん(59)が二十八日、熊本市大江の熊本学園大で教壇に立ち、記憶が消えていく不安や家族への感謝の思いを語った。「認知症になると何も分からなくなる」という従来の考えが誤っていることを伝えようと、同大の天田城介助教授が招いた。
越智さんは社会福祉学科の一年生など二百二十人を前に、福岡市天神のデイサービス「天神オアシスクラブ」の中島七海施設長のサポートを受けながら「もういちど働きたい」と題して語った。
越智さんは四十七歳で発症。会社勤めだったが、物忘れによるトラブルで五十二歳で退職。「ホッとした半面、家族に申し訳ないと思った。一番つらい日々だった」と振り返った。五十四歳でアルツハイマーの告知を受け、医師の紹介で同クラブに通うようになった。昨年十月には、京都で開かれた国際アルツハイマー病協会の国際会議で、日本人として初めて実名で自らの体験を発表した。
最近の状態は「いろんなことをすぐに忘れる。曜日も分からないし、思ったことを話せなくなっている」。ただ、「忘れることは悔しいが、忘れてもいいと思えるようになった」。妻の須美子さん(53)に対しては「働きすぎて体を壊すのではないかと心配。もう一度働けるようになって楽にしてあげたい。そんな大切な妻を忘れてしまうのが怖い」と語った。
天田助教授は「認知症の人に対する『何にも考えられない』『周囲に対する配慮がなくなる』などの間違った知識は根強い。そのことが当事者をいかに苦しめているかを考えてほしい」と話していた。(田川里美)
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【2006.09.29 京都新聞】
私論公論.「介護殺人事件」の根底を考える――さしあたり、生きるに十分なお金を無条件に分配せよ」
2006.09.29 朝刊/京都
●天田城介 立命館大学大学院先端総合学術研究科非常勤講師
今年2006年1月から9月18日現在までにおいて新聞報道等の中で「介護殺人事件」として読み取れる事件は全国で34件にのぼる。以上の推計は私が報道によって知り得た限りの介護殺人事件の件数であるが、以下、これらの新聞記事による推計をもとに、高齢者をめぐる介護殺人事件から何を/いかに問うことが可能かについて、3点のみ記しておく。
第一に、端的に言って、現在の介護保険制度は老い衰えゆく高齢者が在宅で(家族介護を前提とせずに)24時間、365日つつがなく暮らすためには全く不十分な制度であるという点だ。これは、上記34件の事件において「老老介護」の場合が圧倒的に多く、特に「高齢夫婦介護」が全体の約6割になるという事実からも指摘することができよう。要するに、単身世帯や高齢夫婦世帯などの「人の手」がない場所で病や障害を生きる高齢者が暮らしていこうとすれば、極めて過酷な事態に晒されることになるという現実がある。その意味で、所得・医療・介護等のいずれもが十分に保障される制度を設計する必要がある。
第二に、介護殺人事件におけるジェンダーをめぐる問題がある。上記の34件の介護者→被介護者の内訳は、夫→妻(16件)、息子→父母(11件)、妻→夫(5件)、娘→母(1件)、元娘の夫→元義母(1件)となっており、男性が女性を殺害したケースは28件(82.4%)であるのに対して、女性が男性を殺害したケースは6件(17.6%)である。現実には『平成17年度版高齢社会白書』に示されたように、「同居して介護している家族介護者」の4人に3人(76.4%)は「女性」であるにもかかわらず、介護殺人事件の多くは(いわば家族介護者の少数派である)「男性」によって惹き起こされているという、ジェンダーをめぐる非対称性をその根底において問い直すことが決定的に重要な作業となる。
第三に、一連の報道において封印/消去されている「問い」について考えるべきである。例えば、「殺害された当事者も同意していた」「介護者は献身的に介護していた」と報道される場合が少なからずあるが、それによって量刑の違いがどのように生じたのか、あるいは「本人も死ぬことに同意していた」「介護の労苦」といった語りが妙な共感を呼び起こしてしまう私たちの社会のありようをいかに考えるか。更には、地元住民らから減刑嘆願書が提出されることがあるが、それはどのような仕掛けによって駆動されているのか。
こうした問いが問われなければ、結局のところ、「『なぜ介護殺人事件が起きたのか』を検証しなければ同じことが繰り返される」という、この数十年反復されてきた指摘が今後も反復され続けられながら、件の事態は何も変わらないということになるのではないかと思う。思考すべき問題は山積しているのだ。
最後に、現実には幾つもの困難はあるが、さしあたり実行可能な政策を言及しておく。京都市伏見区にて認知症の母を殺害して承諾殺人の罪に問われた息子は京都地裁の公判の席で裁判官から「このような事件の原因は何か」と尋ねられると、「生きるために生活費を削るなどしてきたが、数ヶ月、考えるだけのお金を無条件で出してくれたら、何とかできたかもしれない」と答えたという。私たちはこの「声」を家族介護者が「介護し続けるための条件」として聴き取るのではなく、むしろ当事者が生きていくためには「生きるに十分なお金が無条件に分配されること」こそが「最低限の条件」であることを指し示すものとして受け取るべきである。
※新聞にはプロフィールと写真が掲載
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【2007.03.09 東京新聞】
『協力拒んだ父、許せない』
東京新聞 2007.03.09 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20070309/lcl_____kgw_____001.shtml
老老介護殺人で実刑判決
身内の支援を積極的に受け入れようとせず、孤独な介護の果てに寝たきりの妻の生命を断った−。横浜地裁で八日、殺人罪で懲役三年(求刑・懲役八年)の判決を受けた無職山口清被告(74)=藤沢市長後。事件の衝撃は、息子ら家族に深い悲しみだけでなく、父親への憎しみを残した。老老介護をめぐる悲劇はなぜ、また繰り返し起きてしまったのか。
判決などによると、山口被告は二〇〇五年ごろから、糖尿病などの病気と認知症により寝たきりだった妻系子さん=当時(74)=の介護をしていた。
近くに住む長男と長女が月に数回、介護の手伝いに来ていたが、同被告は「子どもたちには所帯があり、負担をかけられない」との思いから、できる限り一人で妻の面倒を見ようとしていた。
〇六年五月には、長男が介護保険を申請。系子さんは要介護認定を受け介護支援専門員による週三回、一日九十分の訪問を受けるようになったが、それ以外は同被告が食事や排せつの処理を含め一人で世話していた。
頑固な性格もあって自らを追い込み、将来に絶望して無理心中を決意するに至った山口被告。凶器として木製バットとノミを手にするが、その苦しさを子供たちやケアマネジャーに見せることは最後までなかった。
これまでの公判に長男は一度も足を運ばなかった。検察側の参考人聴取に、長男は「なぜ本当の苦しみを打ち明けてくれなかったのか。周囲の協力を拒否し続けた父が許せない」と悔しさをぶつけた。
山口被告は現在、自身も認知性の症状を示しているほか、直腸がんも患っている。法廷には車いすで出廷。顔色は悪く、実刑を言い渡された後も、うつろなまなざしで「ああ」と漏らしただけだった。閉廷後、弁護人は「被告との意思疎通はほとんどできなかった」と話した。
× ×
悲劇の背後に、どんな事情が隠れているのだろうか。
介護問題に詳しい立命館大学大学院非常勤講師(社会学)の天田城介さんは「夫が介護する場合、妻を人目にさらしたくないという気持ちが強く、家のなかで囲い込むことが多い」と指摘する。
高齢者福祉に詳しい甲南女子大学の津村智恵子教授は「支援を拒み続ける家庭には、行政が強制的に介入することも必要だ」と話し、こう付け加えた。
「老老介護の果てに、介護者が刑務所で最後を迎えてしまうかもしれない現実が一番悲しい」 (小川慎一)
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※以下の新聞にも同様の記事が掲載されているようです。
◆中日新聞inしずおか
http://www.chunichi-tokai.co.jp/00/kgw/20070309/lcl_____kgw_____001.shtml
◆日刊県民福井
http://www.kenmin-fukui.co.jp/00/kgw/20070309/lcl_____kgw_____001.shtml
◆北陸中日新聞
http://www.hokuriku.chunichi.co.jp/00/kgw/20070309/lcl_____kgw_____001.shtml
⇒天田城介(josukeamada.com)