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| 2005年度 卒業演習(一福) |
天田城介(AMADA Josuke)
最終更新日:2005.03.20
【講義日時】
卒業演習 火曜日3時限 113B教室
【講義資料】
随時レジュメを配布しています。
【卒業演習参加メンバー】(名簿順)
未定
【卒業演習卒業論文集】
●2月に発行します。質問等は天田までメールをください。
【概要】
1990年代の介護保険制度の創設に雁行する形で行われた医療制度改革によって、政府による医療費の抑制政策、とりわけ高齢者医療費の抑制政策が然したる議論も抵抗もなく進められてきたことは周知の通りである。こうした高齢者医療制度改革は、1997年から始まった医療保険制度を中心とする医療制度「抜本改革」議論によって巧妙に不可視化・隠蔽されており、今や高齢となり医療が必要不可欠になっても、十分な医療を受けられることは極めて難しい状況にある。こうした医療制度改革によって、いわゆる「難病をもつ高齢者」や「医療ニードのある高齢者」といった人たちを受け入れる医療施設や社会福祉施設を探し出すことは大変な苦労を要することとなっている。また、こうした人たちの中には十分な医療サービスもケアサービスも保障されないまま在宅での生活を余儀なくされている。そして、私たちはこうした現実が作り出されていることをあまりにも知らないでいる。
本演習の目的は、こうした「医療制度改革」や「介護保険改革」をめぐる議論を丁寧に読み解くことを通じて、「『医療制度改革/介護保険制度改革』をめぐる議論を通じて何が/どのように問われていたのか」「その制度改革によっていかなる事態がもたらされているのか」について考究することである。こうした言説を問い直すことを通じて、一連の医療制度改革で言われていた「社会的入院の解消」「過剰医療の解消」「ターミナル・ケアの充実」などといった口当たりの良い言葉によって、何が問われずに不可視化されてきたのか(覆い隠されてきたのか)について検討していくことにしたい。
本演習では、はじめに以上のような研究テーマを共有した上で、それぞれの問題意識・研究関心を発表してもらい、それに基づいて複数のグループ分けを行う。次いで、研究のための資料・文献の収集と解析の方法について説明した上で、各グループごとに関連する文献を講読し、レジュメを作成して発表を行う。一定量の文献を読み終えた後、各グループで研究テーマを設定した上で、インテンシブなフィールドワークを実施してもらう予定である。
最終的には、まとめた結果を報告し、全体で論議してもらう予定である。年度末にはこのフィールドワークの結果はゼミ報告書として完成・報告してもらい、再度全体で議論してもらう予定である。
私の演習は、年数回の現場見学や病を持つ高齢の当事者の方々や現場の人たちによるゲスト講義に加えて、実際にICレコーダーを片手に相当緻密でハードな調査を実施してもらいますので、参加する学生にはそれぞれに明確な問題意識・研究関心を持った上での主体的なコミットメントを要求します。
●成績評定の方法:出席、演習課題への取り組みと発表内容、レポートで評定を行う。
●テキスト:特定のテキストは使用せず、適宜プリントを配布する。
●参考文献:参考文献は講義中に随時紹介する。
2005年度卒業演習(天田ゼミ)卒業論文集
生老病死への/からの問い
――「生老病死」をめぐる言説と政策の現在――
●2006年3月
●刊行にあたって
本論文集は、2005年度熊本学園大学社会福祉学部第一部社会福祉学科4年次必修科目である「卒業演習」(天田城介担当)を履修した学生たちが実施した調査結果をまとめたものである。本年度の卒業演習は、いわゆる「生老病死」に関わる切実な問題を取り上げ、現在の日本社会における「生老病死」をめぐる言説と政策を渉猟・概観しつつ、その言説と政策をめぐってどのようにして「生の価値の配置」が構成されているかを考察することを通じて、「生老病死への問い」あるいは「生老病死からの問い」を照射することを目的とした。ただし、本演習では、近年の一連の様々な出来事の動向を一定程度は把握しつつも、同時にこうした一連の動向に対して短絡的に価値的な判断を下すのではなく――肯定的/否定的に価値判断を下すことなく、最初は「事実」と「価値」を一応は区別した上で――、むしろ一連の出来事を「歴史」の中で位置づけつつ、またそれを「全体的な構図」の中に置くことを試みるように挑戦するように指導したつもりである。
したがって、メディアによって垂れ流されている陳腐かつ平板な諸言説に対して一定の距離を保ちつつ、短絡的な価値判断を下すことなく――その意味では相当にしんどい作業になったはずである――、現在の日本社会における「生老病死」をめぐる言説と政策を渉猟・概括することを通じて、「生老病死」をめぐって何が起こってきたのか、あるいは起こっているのか、あるいはどのようにしてそれらは組み替えられ、更には組み替えられつつも再生産されてきたのか、について各自が辛抱強く考究することを最大のねらいとしたものである。これは私たちの社会的現実がいかに作り出され続けているかを考えたことがある者であれば、その作業の重要性は認識されることだろう。その意味では、本年度の私の卒業演習を履修した全ての学生の皆さんは、こうしたしんどい知的作業をお互いに支えあい、励ましあいながら、逞しく、辛抱強く進めてくれた。とりわけ、今年度のメンバーは比類ないほど良好な関係を紡ぎ出しているように思えた。皆さんと一緒に私も考えあぐね、支えあう関係を築けたことは――そして皆さんとこれほど良好な関係をともに作り出すことができたことは――、これからの私にとって代え難い「貴重な財産」になるに違いない。
本報告書は「生-殖(出生前診断)」「死(安楽死と尊厳死)」「病(難病)」「医療専門職(MSW)」「医療政策」「福祉政策」を中心としたテーマによって構成されており、全6章立てとなっている。各章とも修正すべき点が多々あるが、学生の皆さんの「若き情熱」によって結実した報告書であることの意味と効果を最大限に評価していただければ幸いです。
加えて、インテンシブなフィールドワークにご協力いただいた方々には多大なるご迷惑とご心配をお掛けしたようである。この場を借りて心よりお詫びを申し上げるとともに、本報告書への忌憚のないご意見・ご批判をいただければ幸いです。ご協力してくださった方には改めて心よりお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
なお、論文集の編集委員である城間敦さん、水無瀬翔司さん、坂本和徳さんは労をいとわず大変な編集作業にあたってくれた。記して感謝したい。楽しかったです。有り難う。
最後に「熊本学園大学」という学び舎を離れる皆さんにメッセージを記します。皆さんがいかなる状況においても自らの信念を貫き、その道を進むことを願うと同時に、常にその自らの信念をも懐疑し、他者との関係を切断せずに生きることを心から願っています。
●2006年3月
●天田城介
目次
刊行にあたって
第1章 出生前診断の必要性について…………………………………………….6
(五嶋亜佐美 藤川智恵 森奈津子)
はじめに
第1節 出生前診断とは
1.出生前診断の定義
2.出生前診断の目的
3.どのような時、出生前診断を受けるのか
4.出生前診断の方法
5.妊娠・出産・中絶に関する法律〜刑法堕胎罪について〜
第2節 出生前診断と優生思想について
第3節 自己決定と生存権について
1.「産む」「産まない」は女性の自己決定か
2.胎児に生存権はあるのか
第4節 出生前診断に対する意見
第5節 現状と問題点〜カウンセリングについて〜
第6節 これからどう取り組んでいくのか
第7節 考察
第8節 まとめ
第2章 安楽死と尊厳死――生きる意味とは…………………………………...20
(大窪しおり 上窪由佳 迫田裕美 高田沙織)
はじめに
研究の目的と意義
研究の方法
第1節 日本の安楽死について
1.安楽死とは
2.安楽死の歴史
3.日本での安楽死の是非
第2節 日本の尊厳死について
1.尊厳死とは
2.尊厳死の歴史
3.日本での尊厳死の是非
(1)日本医師会と日本学術会議の見解
(2)尊厳死にまつわる調査結果
(3)尊厳死反対派の言い分
第3節 世界の安楽死について
1.世界の安楽死の歴史・状況
2.オランダにおける安楽死の合法化
(1)オランダの特異性
(2)2001年積極的安楽死、自殺幇助の合法化
第4節 世界の尊厳死について
はじめに
1.世界の尊厳死の状況
2.『オレゴン州尊厳死法』について
3.カルフォルニア州自然死法について
(1)カルフォルニア州自然死法成立経過について
(2)カルフォルニア州自然死法内容について
第5節 リビング・ウィルについて
1. リビング・ウィルとは
2. リビング・ウィルの設立背景
第6節 考察
第7節 まとめ
第3章 難病当事者の在宅生活を取り巻く環境について……………………...34
(坂本和徳 野中知佳 澤田真実 幸山優美 愛甲紋巳)
はじめに
調査方法
第1節 難病とは
1.難病とは
第2節 ALS(筋萎縮側索硬化症)とは
1.ALSとは
第3節 当事者・家族へのインタビュー
1.第1回インタビュー(TさんとT夫)、考察・分析
2.第2回インタビュー(SさんとS妻、I妻)、考察・分析
3.第3回インタビュー(IさんとI妻)、考察・分析
4.闘病記「人生に悔いはない」、考察・分析
5.「家族の立場から」、考察・分析
6.第4回インタビュー(IさんとI妻)、考察・分析
第4節 考察
第4章 医療の中の福祉――医療ソーシャルワーカーの関わり合い………...80
(水無瀬翔司 城間敦 田上恵美 長野友香 兵頭里香)
はじめに
第1節 医療ソーシャルワーカーの業務指針
1. 趣旨
2. 業務の範囲
3. 業務の方法
4. その他
第2節 医療ソーシャルワーカーの歴史
1.MSWの始まり
2.戦後の日本
第3節 医療の中の福祉とその役割
1.医療福祉とは
2.保健・医療の領域になぜ社会福祉が必要か
3.具体的に何をするのか
4.どういう機関(施設)で医療ソーシャルワーカーは働いているのか
5.医療機関の機能と目的
6.患者を医師が見る視点とMSWが見る視点の違い
7.生活問題への対応の仕方
第4節 地域との関わりについて
第5節 医療ソーシャルワーカーへのインタビュー
1.MSWの認知度について
2.MSWの仕事の困難さ、やりがいを感じること
3.大規模病院と小規模病院における業務の違いについて
4.退院後のケア・調節はどのように行っているか
5.90日・180日ルールが障害になったケースについて
6.医療制度改革によって業務の内容はどのように変化したか
7.医療の必要性があるにもかかわらず、在宅しか選択肢がない人達はどうしているか
8.MSWの現状と課題について
第6節 医療ソーシャルワーカーの今日の課題
第7節 まとめ
第5章 医療制度と医療制度改革について……………………………………...92
(掘阿季子 友枝瞳)
はじめに
第1節 医療制度の仕組み
1. 医療保険の特徴
2. 医療保険の仕組み
3. 医療機関を受診した場合の医療費
4. 医療費を決定するメカニズム
5. 特定医療費
6. 混合診療
第2節 医療制度改革
1. 医療制度改革の背景
2. 医療制度改革の主な内容
3. 医療制度改革がもたらした現状
第3節 考察
第4節 2006年医療制度改革
1. 医療制度改革大綱
2. 内容
3. 考察
第5節 まとめ
第6章 介護保険制度改革――新たなサービス体系について
(原美幸 林田翔子 西原万紀 木原美穂 梶原未有)
はじめに
第1節 介護保険制度改正の全体像
1.基本的理念からの課題
2.介護保険制度見直しの具体的内容(主なポイント)
3.日本とドイツとの比較
第2節 介護予防・サービス体系について
1.介護予防とは
2.ケアマネジメントも介護予防の視点で
3.介護予防に関しての見解
第3節 施設給付の見直し・改正について
1.ホテルコスト
2.所得の低い方への対策
3.施設サービス
第4節 まとめ
【年間スケジュール】
●休講(04月12日) 春学期の講義は始まっていますが、演習科目(入門演習を除く)は4月18日(月)以降開始。
第01回(04月19日) 自己紹介、講義概要の説明、今年度の予定、文献紹介
第02回(04月26日) 各自の関心の研究テーマを発表/ブレインストーミング
●休日(05月03日)
第03回(05月10日) 全体討議(グループ分け作業)
第04回(05月17日) 全体討議(グループ分け作業)
第05回(05月24日) 全体討議(グループ分け作業)
第06回(05月31日) 調査計画の発表
第07回(06月07日) 各グループの調査計画の発表
第08回(06月14日) 各グループの調査計画の発表
第09回(06月21日) 各グループの調査計画の発表
第10回(06月28日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
第11回(07月05日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
第12回(07月12日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
◆見学(**月**日) 国立ハンセン病療養所菊池恵楓園を見学
◆見学(**月**日) 病院/介護療養型医療施設の見学
◆参加(**月**日) 熊本難病団体連絡協議会(熊難連)の方に話を聴く
◆参加(**月**日) 在宅にて医療サービスを利用する高齢者のお宅にて話を聴く
第13回(09月27日) グループごとに調査方法の確定
第14回(10月04日) グループごとに調査方法の確定
第15回(10月11日) グループごとに調査方法の確定
第16回(10月18日) グループ討議
第17回(10月25日) グループ討議
第18回(11月01日) グループ討議
第19回(11月08日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
第20回(11月15日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
第21回(11月22日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
第22回(11月29日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
第23回(12月06日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
第24回(12月13日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
第25回(12月20日) 各グループの調査報告(レジュメにて発表)
●休講(01月10日) 月曜日の振替授業日
第26回(01月17日) 卒業論文集(草稿)の提出
◆締切(02月**日) 卒業論文集の原稿の最終締め切り
◆刊行(03月上旬) 卒業論文集の完成・配布→学位授与式(卒業式)に配布
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