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| 2003年度 演習T(二福) |
天田城介(AMADA Josuke)
最終更新日:2004.12.23
【講義日時】
演習T 金曜日後時限 114Cゼミ室→研究室
【講義資料】
随時レジュメを配布しています。
【演習T参加メンバー】(名簿順)
井上裕介・折田安正・木村八代美・嶋田光一・野尻圭助・阿南良・三谷亮・愛智優佳
【演習V報告書】
あと僅かですが、残部があります。希望の方は天田までメールをください。
【概要】
本演習では、老いと歴史、より正確に表現すれば個人史と歴史の接点から「長寿」の意味を考察していくことを主題とする。特に本年度は、ハンセン病をめぐる差別と排除の歴史的文脈を捕捉した上で、国立ハンセン病療養所におけるハンセン病回復者の〈老い〉を、過酷な差別を生き抜いてきた当事者の視点に徹底的に照準した考究を行なっていきたい。
そのため、本演習ではそれぞれの学生に大量の関連文献や資料を渉猟してもらい、差別と排除の歴史、日常のコミュニケーションにおける隠蔽化されていく差別と排除の構造、老いと歴史の関係、差別と福祉の関係などに関連したテーマを各自で検討した後に、実際に現場に出てフィールドワークを実施してもらう予定である。こうした調査・分析・考察という一連の作業を行ってもらうことを通じて、自分自身の「老いと歴史」「長寿の意味」「差別と福祉」への考えを明確化してもらえればと願っている。したがって、明確な問題意識・研究関心を持った主体的な受講を期待したい。
本演習では、はじめにそれぞれの問題意識・研究関心を発表してもらい、それに基づいて複数のグループ分けを行う。次いで、研究のための資料・文献の収集と解析の方法について説明した上で、各グループごとに関連する文献を講読し、レジュメを作成して発表を行う。一定量の文献を読み終えた後、各グループで研究テーマを設定した上で、インテンシブなフィールドワークを実施してもらう予定である。最終的には、まとめた結果を報告し、全体で議論してもらう予定である。年度末にはこのフィールドワークの結果は(相当な分量の)ゼミ報告書として完成・報告し、更に全体で議論してもらう予定である。
私の演習Tは、年数回の施設見学と体験学習に加えて、実際にテープレコーダーを片手に相当に緻密でハードな調査を実施してもらいますので、参加する学生にはそれぞれに明確な問題意識・研究関心を持った上での主体的なコミットメントを要求します。
●成績評定の方法:出席、演習課題への取り組みと発表内容、レポートで評定を行う。
●テキスト:特定のテキストは使用せず、適宜プリントを配布する。
●参考文献:参考文献は講義中に随時紹介する。
2003年度演習T(天田ゼミ)報告書
ハンセン病当事者の老いと歴史
―ハンセン病をめぐる差別と排除の構造―
●2004年3月
●刊行にあたって
本報告書は、2003年度熊本学園大学社会福祉学部第二部社会福祉学科1年次科目である「演習T」(天田城介担当)を履修した学生たちが実施した調査結果をまとめたものである。本年度の演習Tは、ハンセン病当事者の視点から老いと歴史を考察することを通じて、ハンセン病をめぐる差別と排除の構造を明らかにすることを目的に行った。
2001年5月の「歴史的な判決」と言われる熊本地裁でのハンセン病国家賠償請求訴訟の原告勝訴の判決後においても、ハンセン病問題、とりわけハンセン病当事者がいかなる人生を生き抜いてきたのかは十分に検証されてきていない。加えて、そうした当事者の個人史と歴史の接点からハンセン病をめぐる差別と排除の構造も今だ十分に検証されているとは言い難い状況である。先の黒川温泉での宿泊拒否事件はその証左であると言えよう。
したがって、本演習では、老いと歴史、より正確に表現すれば個人史と歴史の接点から「長寿」の意味を考察していくことを主題とした。特に本年度は、国立ハンセン病療養所菊池恵楓園と琵琶崎待労院におけるハンセン病当事者の過酷な差別を生き抜いてきた軌跡と歴史性を考察することに主眼をおいて進めてきた。
実際の演習の進め方としては、前期(春学期)では、資料や先行諸研究のレビュー作業を通して事前にハンセン病をめぐる差別と排除の歴史的文脈を学習した上で、夏期休業期間を利用して、ハンセン病当事者の方々から何度もお話をお聞かせいただいた。
後期(秋学期)においては、それぞれの学生の関心に応じて研究テーマを設定した上で、9月から2月までのあいだ、延べ10数回にわたって学生が菊池恵楓園や琵琶崎待労院を訪問させていただきながら、自分自身のテーマに即して学びを深めていった。以上のハンセン病当事者の方々に多々教えていただいたお陰で完成した成果が本報告書となる。
繰り返すが、本年度の演習Tでは、ハンセン病問題をステレオタイプ的な視点から理解するのではなく、徹底的に当事者の視点から明らかにすることを最大の目的としていた。こうした視点の転換は、これまで自らが理解していると思い込んできた「社会的現実」は「当事者性」という視点を抜きには理解し得ないということを含意するものである。本年度の私の演習Tを履修した全ての学生の皆さんは、ハンセン病当事者の方々から多くを教えていただきながら、あれこれと考えあぐね、常にお互いに支えあい、励ましあいながら、この「当事者性」を自分なりにあれこれと考え抜いてくれた。私自身、学生の皆さんと一緒に考えあぐね、支えあう関係を築けたことは、私にとっても貴重な財産となるであろう。
ところで、菊池恵楓園あるいは琵琶崎待労院にてインテンシブなフィールドワークを実施する中で、どの学生も最初は緊張していた様子であったが、受け入れてくださった方々のご厚意によって大変実り多き経験になったようである。自治会の方々を中心とする菊池恵楓園の皆様、あるいは待労院の皆様にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。なお、調査にご協力いただいた方々には、本報告書への忌憚のないご意見・ご批判をいただければ幸いです。ご協力してくださった方には改めて心よりお礼を申し上げたい。
最後になるが、本年度の演習Tの牽引役を務めてくれたリーダーの井上裕介さん、報告書の編集作業をしてくれた野尻圭助さんは労を厭わず尽力してくれた。記して感謝したい。
●2004年3月
●天田城介
目次
第一章 ハンセン病の歴史(愛智優佳)
(1)ハンセン病年表
(2)菊池恵楓園の現在
(3)まとめ
第二章 ハンセン病について(折田安正)
(1)ハンセン病に関する歴史年表
(2)らいの過去
(3)プロミンについて
(4)明治以前のハンセン病について
(5)「らい」という言葉について
(6)光田健輔について
(7)「平和の礎」について
(8)ハンセン病を調べていく中で
第三章 藤本事件について(野尻圭助)
(1)なぜ犯人に?証拠の曖昧さについて
(2)藤本さんはどの様に、約10年間恵楓園をすごしていたか?
(3)「救う会運動」がマスコミにどう見られていたのか?
(4)総括
第四章 黒髪校事件(井上裕介)
(1)黒髪校事件
(2)入学式の次の日の新聞
(3)学習の様子
(4)事実を追っただけの新聞
(5)同盟休校に終止符
(6)行政の動き
(7)最終的な保護者会後の熊本日日新聞(昭和29年4月23日 熊本日日新聞)
(8)菊池恵楓園初代園長 宮崎松記事氏「子どもたちを通学させないのは、差別だ」と訴える。
(9)熊本日日新聞 検証ハンセン病史「木鐸」 2003年6月16日朝刊から1部引用
(10)昭和28年12月10日の社説
(11)映画「厚い壁」について
(12)この事件についての元患者さん(待労院にある方)に聞く
(13)恵楓園のある方に質問
(14)まとめ
第五章 ハンセン病―らい予防法を知る(木村八代美)
(1)ハンセン病を理解する
(2)らい予防法案と世間の偏見の中で
(3)らい予防法
第六章 徒労院とハンセン病(嶋田光一)
(1)日本のハンセン病の歴史は?
(2)創設への道
(3)よりよくいきるために
(4)時代の変遷に伴う新しい問題
(5)慰めの日に支えられて
(6)驚異の薬、プロミン投薬の開始
(7)まとめと感想
第七章 ハンセン病と水俣病―共通点と相違点(阿南良)
(1)病気の原因、症状
(2)偏見、差別
(3)裁判
(4)総括
(5)ゼミを終えて・これからのハンセン病について
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