天田城介(josukeamada.com)講義関連
2005年度 高齢者福祉特殊研究(大学院)

天田城介(AMADA Josuke)
最終更新日:2005.03.20


【講義日時】
高齢者福祉特殊研究  火曜日後時限  教室未定

【講義資料】
●随時レジュメを配布。その他資料も大量に配布します。
●最初は、天田の執筆した『〈老い衰えゆくこと〉の社会学』(多賀出版)と『老い衰えゆく自己の/と自由』(ハーベスト社)の一部をコピーして配布します。後者は社会福祉研究所の叢書として刊行してありますので、社会福祉研究所に立ち寄って確認してみてください。
●また、希望者には天田がこれまで書いてきた論文や執筆中の草稿などを全て配布します。

【講義概要】
 1960年代の米国において高齢者による当事者運動の展開にシンクロするようにして、エイジング(aging)に関する研究は認識論的転回を経由することになった。こうした学問上の歴史的文脈を正確に押さえておくことは、未曾有の高齢化(aging)を遂げつつある現代社会における個人の老い(aging)を理解する上で、決定的に重要な点である。
 したがって、本講義では、はじめに、エイジングの機制や過程、ならびに高齢者に関する諸現象・諸問題を研究対象とする比較的新しい学際分野である老年学(gerontology)と、当事者運動の高まりの中でその研究視座と枠組みを自ら問い直していったエイジング・スタディーズ(aging studies)の学問的立脚点の差異を確認した上で、〈老い〉を語る者=研究者の立場性(positionality)を理論的に検討していきたい。
 次いで、現在のエイジング・スタディーズの視座から、高齢者医療制度/高齢者福祉制度をめぐっていかなる言説がせめぎあい、どのような政治的な力学を形成しているのかについて考察を深めていく。その意味では、「汗牛充棟」の研究領域でも何かは言えることを実感してもらえればと思う。言い換えれば、言説が錯綜する領野における〈争点〉はいかにして、なぜゆえに、いかなる文脈によって惹起したのかを考えることが決定的に重要であるということだ。そして、その上でその政治性を丹念に読み解くことが必要となる。
 だとすれば、次に問うべきは、〈社会的なものthe social〉とは一体いかなるものであるのか、いかにして別様に〈社会〉を構想することが可能であるのか、その根源的な人間存在はいかなるものとなるのか、について徹底的に考え抜くことである。未曾有の「高齢化」を遂げつつある現在、「高齢社会」や「福祉国家」をめぐる論争は上記のような「根源的問い」なくして洗練化・成熟化することはないだろう。
 以上の極めて知的な作業を通じて、高齢者福祉への新たな視座と方法論を習得していく。

◆ちなみに、社会調査法、とりわけフィールドワークの技法等に関して関心のある方は、ソーシャルワーク・リサーチを履修/聴講することを勧めます。ソーシャルワーク・リサーチにて方法論についての講義を行うため、本科目では本来の〈老い〉をめぐる政治性に照準化していきます。

【年間計画】
@老年学(とりわけ社会老年学)と関連領域についての理論的検討
Aエイジング・スタディーズの現在性とその歴史的文脈の理解
B言説の政治性と研究者の立場性をめぐる争点の理論的検討
C「高齢社会」「福祉国家」をめぐる〈自由〉と〈平等〉についての理論的系譜の理解
D〈社会的なもの〉〈政治的なもの〉〈人間的なもの〉といった「根源的な問い」の検討

【文献】
天田城介.2003.『〈老い衰えゆくこと〉の社会学』多賀出版.(授業中割引価格で販売/無料で長期間の貸し出し)
天田城介.2004.『老い衰えゆく自己の/と自由――高齢者ケアの社会学的実践論』ハーベスト社.(社会福祉研究所叢書となっています)

【読むかもしれない文献】
広井良典.2003.『生命の政治学――福祉国家・エコロジー・生命倫理』岩波書店.
稲葉振一郎.1999.『リベラリズムの存在証明』紀伊國屋書店.
北田暁大.2003.『責任と正義――リベラリズムの居場所』勁草書房.
大庭健.2004.『所有という神話──市場経済の倫理学』岩波書店.
Parfit D.1984.Reasons and persons.Oxford University Press.=森村進訳.1998.『理由と人格――非人格性の倫理へ』勁草書房.
Rawls J..1971.A Theory of Justice.Harvard University Press.=矢島鈞次監訳.1979.『正義論』紀伊国屋書店.
Roemer J. E.1996.Theories of Distributive Justice.Harvard University Press.=木谷忍・川本隆史2001.『分配的正義の理論――経済学と倫理学の痴話』木鐸社.
Rorty R..1989.Contingency Irony and Solidarity.Cambridge University Press.=齋藤純一・山岡龍一・大川正彦訳.2000.『偶然性・アイロニー・連帯――リベラル・ユートピアの可能性』岩波書店.
――――.1999.Philosophy and Social Hope.Penguin Books.=須藤訓任・渡辺啓真訳.2002.『リベラル・ユートピアという希望』岩波書店.
Sen A..1992.Inequality Reexamined.Oxford University Press.=池本幸生・野上裕・佐藤仁訳.1999.『不平等の再検討─―潜在能力と自由』岩波書店.
塩野谷祐一.2002.『経済と倫理――福祉国家の哲学』東京大学出版会.
塩野谷祐一・鈴村興太郎・後藤玲子編.2004.『福祉の公共哲学』東京大学出版会.
立岩真也.1997.『私的所有論』勁草書房.
――――.2000.『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術』青土社.
――――.2004.『自由の平等――簡単で別な姿の世界』岩波書店.
――――.2004.『ALS――不動の身体と息する機械』医学書院.
山之内靖.2004.『受苦者のまなざし――初期マルクス再興』青土社.

【参考文献】
◆演習中に適宜指示する。今年度は大量の文献を読破します。

【年間スケジュール】※「文献購読+担当者の発表」となっていますが、後半は天田による説明・補足がほとんどです。
第01回(04月12日) 自己紹介、講義概要の説明、今年度の予定、文献紹介
第02回(04月19日) 各自の研究計画の発表
第03回(04月26日) 文献購読+担当者の発表
●休日(05月03日) 文献購読+担当者の発表
第04回(05月10日) 文献購読+担当者の発表
第05回(05月17日) 文献購読+担当者の発表
第06回(05月24日) 文献購読+担当者の発表
第07回(05月31日) 文献購読+担当者の発表
第08回(06月07日) 文献購読+担当者の発表
第09回(06月14日) 文献購読+担当者の発表
第10回(06月21日) 文献購読+担当者の発表
第11回(06月28日) 文献購読+担当者の発表
第12回(07月05日) 文献購読+担当者の発表
第13回(07月12日) 文献購読+担当者の発表

第14回(09月27日) 文献購読+担当者の発表
第15回(10月04日) 文献購読+担当者の発表
第16回(10月11日) 文献購読+担当者の発表
第17回(10月18日) 文献購読+担当者の発表
第18回(10月25日) 文献購読+担当者の発表
第19回(11月01日) 文献購読+担当者の発表
第20回(11月08日) 文献購読+担当者の発表
第21回(11月15日) 文献購読+担当者の発表
第22回(11月22日) 文献購読+担当者の発表
第23回(11月29日) 文献購読+担当者の発表
第24回(12月06日) 文献購読+担当者の発表
第25回(12月13日) 文献購読+担当者の発表
第26回(12月20日) 文献購読+担当者の発表
第27回(01月10日) 学部は月曜日の振替授業日ですが、大学院は関係ないと思います。
第28回(01月17日) 文献購読+担当者の発表

◆締切(02月上旬) レポートの提出

天田城介(josukeamada.com)講義関連