天田城介(josukeamada.com)著書・論文など
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講演.
「何を、どのように、いかなる方法で記述するのか?――調査と記述の厄介さ」
九州国立看護教育学会.2006年8月4日(金).10:30〜12:30.於:メルパルク熊本.

天田城介(AMADA Josuke)
配布資料作成:2006.08 最終更新日:2006.08


【当日配布資料】
◆平成18年度九州国立看護教育研究学会プログラム

■8月4日(金)
9:00〜 受付
9:25〜9:30 オリエンテーション
9:30〜10:20 開会式 : 支部長挨拶  来賓挨拶  看護専門職の連絡  新人紹介
10:20〜10:30 休憩
10:30〜12:30 特別講演
         演題 : 「何を、どのように、いかなる方法で記述するのか?――調査と記述の厄介さ」
         講師: 立命館大学大学院先端総合学術研究科 天田城介
12:30〜13:30 昼食
13:30〜14:00 研究発表  第1群発表 2題 ・ 質疑応答
14:00〜14:40 研究発表  第2群発表 3題 ・ 質疑応答
14:40〜15:10 研究発表  第3群発表 2題 ・ 質疑応答
15:10〜15:20 閉会式

◆平成18年度研究発表プログラム

■平成18年8月4日(金)
●13:30〜 第1群(13:30〜13:44) 座長  廣田真里(福岡東 教育主事)
1.小児看護学実習における看護学生の能動的な学びの援助に至るまでの過程
  国立病院機構鹿児島医療センター附属鹿児島看護学校  山中真弓(教員)
2.複数患者受け持ち実習を行った看護学生の学びの実態
  国立病院機構熊本再春荘病院附属看護学校  小林典子(教員)
13・44 質疑応答

●14:00〜 第2群(14:00〜14:21) 座長  扇玲子(都城 教育主事)
1.母性看護学実習において看護学生が達成感・満足感を得られる要因
  国立病院機構三重中央医療センター附属三重中央看護学校  神谷美樹(教員)
2.精神看護学実習で学生が感じる困難感とその対処方法
  国立病院機構九州医療センター附属福岡看護助産学校  高木雅弘(教員)
3.看護学生のターミナルケアに関する意識調査
  国立病院機構嬉野医療センター  田代典子(実習指導者)
14:21  質疑応答

●14:40〜 第3群(14:40〜14:54) 座長  有村優子(東佐賀 教育主事)
1.当院における実習指導者コースの取り組みの実際――院内教育におけるロールプレイ演習による実習指導場面の振り返り
  国立病院機構熊本再春荘病院  興呂木祥子(実習指導者)
2.実習指導者が学内で行う看護技術チェックの取り組み――2年生が実施する筋肉内注射の技術チェック
  国立病院機構熊本再春荘病院  渡邉江利子(実習指導者)
14:54 質疑応答
15:10

【当日配布資料】
九州国立看護教育学会資料.於:メルパルク熊本     2006/08/04

「何を、どのように、いかなる方法で記述するのか?――調査と記述の厄介さ」
●天田城介

0.方法を問うことによって思考可能となる問いのいくつか
・「一点突破全面展開」的な視点の位置(全体鳥瞰的視線から分析することの困難性)
・〈現実〉の縮減のありよう(その縮減の仕組み/仕掛けについて思考することの醍醐味)
・分析論理の構成(何を、どのように、いかなる方法で記述することがいかにして可能かを問うと同時に、記述する自らの立脚点と記述の効果についても問うてみる) 等々

1.社会調査法における質的方法の場所
■「質的方法qualitative method/量的方法quantitative method」という構図の陳腐さ
・「質的調査・分析・方法/量的調査・分析・方法」という表現は何を意味しているのか?
・「質的」データとは何か?(「収集したデータ」の性質を指示するのか? あるいは「調査者が経験したリアリティ」の性質なのか?)⇒線引きは困難/不可能であるし、おそらく不毛である
・「質的方法」は「量的方法」の残余的・補足的な方法として位置づけてよいのか? あるいは逆に「量的調査」とは異なる可能性をもつ方法として単純に位置づけてよいのか? ⇒どちらでもないし、そのような思考のありようは建設的ではない
・「質的調査」の歴史性(とりわけ1960年代以降の異議申し立ての時代における問い)
・「主観/客観」「主体/客体」の対立的構図では〈何か〉を言ったことにはならない
・「演繹法/帰納法」といった論理学上の構図とも本質的には照応しない

■「問いのあり方」と「質的方法」は必然的に接続するとは限らない
・「自明性への問い」などという言明は一体何を言っていることになるのか?
・「相対化」「別様な現実」「声なき声」などの言明の位置価とは?
・「文脈」「関係性」などの言明に着地することによって問われない〈問い〉とは何か?
・「言語」に回収する言明などによって問われない〈問い〉とは何か?
・「事実」を徹底的に記述するとして、その記述はいかにして可能か?

■「質的調査」と呼ばれる幾つかの方法の位置と関係
・参与観察法
・事例分析法
・インタビュー法/グループインタビュー法
・ライフ(ヒ)ストーリー法
・エスノグラフィー
・エスノメソドロジー的会話分析
・ナラティブ・アプローチ
・言説分析                   等々

2.「sociology of/off」と「sociology in」の二重性――どこで「見る」のか?
■社会学における「自明性への問い」という問いは一体何を言っていたのか?
・「異人(stranger)の視点」や「境界人(marginal man)の視点」や「日常生活の異化」等々の指摘は何を言わんとしたのか?逆に問われなくなってしまった問いは何か?

■「社会外在的(sociology of)視点」と「社会内在的(sociology in)視点」をめぐる歴史
・医学と社会(科)学の結合/接続の歴史について思考

■「距離をとること」という社会学ではどこまで「距離をとること」が可能であったか?
・「距離をとること」は往々にして「距離をとること」の徹底化とはなっていない

3.何を、どのように、いかなる方法で記述するのか?
■「何を」の前に方法が選ばれてしまう
・「何を」を記述することを志向するかによってその方法は異なる

■方法に応じて「どのように」が規定されるわけではない
⇒「どのように(記述するか)」は自らの立脚する場所によっておのずと決まる

■「いかなる方法」を選択するか、の前に問うておくべきこと
・参与観察法 ・事例分析法 ・インタビュー法 ・ライフ(ヒ)ストーリー法
・エスノグラフィー ・エスノメソドロジー(とりわけ会話分析)
・グラウンデッド・セオリー・アプローチ ・ナラティブ・アプローチ ・言説分析 etc.

■「データの整理・分類」からは「面白いもの」は導き難い(なぜか?)
・「データの整理・分類」によって、逆に、現実におけるコンフリクトの部分が捨象・抹消されてしまうことがある

■矛盾・対立・背反した現実を記述することの醍醐味
・価値の対立、それを作り出している制度・政策、それを駆動している社会的機制、それをめぐる歴史性……

【文献】(和書・翻訳本のいくつかのみ列記)
天田城介.2003.『〈老い衰えゆくこと〉の社会学』多賀出版.
――――.2004.『老い衰えゆく自己の/と自由――高齢者ケアの社会学的実践論・当事者論』ハーベスト社.
――――.2006a.『〈老い衰えゆくこと〉の社会学【普及版】(仮題)』多賀出版.
――――.2006b.『「承認」と「物語」のむこう(仮題)』
――――.2006c.『死に放擲される老い(仮題)』
Clifford,James & Marcus,George E..1986.Writing Culture;The Poetics and Politics of Ethnography.California University Press.=春日直樹・足羽与志子・橋本和也・多和田裕司・西川麦訳.1996.『文化を書く』紀伊國屋書店.
――――.1988.The Predicament of Culture:Twentieth-Century Ethnography, Literature, and Art.Harvard University Press.=太田好信・慶田勝彦・清水展・浜本満・古谷嘉章ほか訳.2003.『文化の窮状――二十世紀の民族誌、文学、芸術』人文書院.
Emerson, Robert M..Fretz, Rachel I. & Shaw Linda L..1995.Writing Ethnographic Fieldnotes.The University of Chicago Press.=佐藤郁哉・好井裕明・山田富秋訳.1998.『方法としてのフィールドノート――現地取材から物語作成まで』新曜社.
Flick,Uwe.1995.Qualitative Forschung.Rowohlt Taschenbuch Verlag GmbH,Reinbek bei Hamburg.=小田博志・山本則子・春日常・宮地尚子訳.2003.『質的研究入門――〈人間の科学〉のための方法論』春秋社.
Glaser, Barney & Strauss, Anselm L..1967.Discovery of Grounded Theory: Strategies for Qualitative Research.Aldine Publishing.=後藤隆.大出春江.水野節夫訳.1996.『データ対話型理論の発見』新曜社.
Gubrinm,Jaber F.& Holstein, James.1995.The Active Interview.Sage.=山田富秋・兼子一・倉石一郎・矢原隆行訳.2004..『アクティヴ・インタビュー――相互行為としての社会調査』せりか書房.
木下康仁.1999.『グラウンデッド・セオリー・アプローチ――質的実証研究の再生』弘文堂.
――――.2003.『グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践――質的研究への誘い』弘文堂.
Lofland,John & Lofland Lyn H..1995.Analyzing Social Settings:A Guide to Qualitative Observation and Analysis.=進藤雄三・宝月誠訳.1997.『社会状況の分析――質的観察と分析の方法』恒星社厚生閣.
Maanen John. V..1988.Tales from The Field;On Writing Ethnography.University of Chicago Press.=森川渉訳.1999.『フィールドワークの物語――エスノグラフィーの文章作法』現代書館.
Merriam Sharan B..Qualitative Research and Case Study Applications in Education.Jossey-Bass.=堀薫夫・久保真人・成島美弥訳.2004.『質的調査法入門――教育における調査法とケ−ス・スタディ』ミネルヴァ書房.
中河伸俊・北澤毅・土井隆義編.2001.『社会構築主義のスペクトラム』ナカニシヤ書房.
野口裕二.2006.『ナラティブの臨床社会学』勁草書房.
Plummer K..1995.Telling Sexual Stories;Power.Change and Social World.Routledge.=桜井厚.好井裕明.小林多寿子訳.1998.『セクシュアル・ストーリーの時代――語りのポリティクス』新曜社.
桜井厚.2002.『インタビューの社会学――ライフストーリーの聞き方』せりか書房.
佐藤郁哉.2003.『フィールドワークの技法―問いを育てる、仮説をきたえる』新曜社.
佐藤俊樹編.2006.『言説分析の可能性――社会学的方法の迷宮から』東信堂.
平英美・中河伸俊編.2006.『新版 構築主義の社会学――実在論争を超えて』世界思想社.
好井裕明.1999.『批判的エスノメソドロジーの語り』新曜社.
――――.2006.『「あたりまえ」を疑う社会学――質的調査のセンス』光文社新書.
好井裕明・山田富秋編.2002.『実践のフィールドワーク』せりか書房.
上野千鶴子編.2001.『構築主義とは何か』勁草書房.

天田城介(josukeamada.com)著書・論文など