天田城介(josukeamada.com)著書・論文など
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「認知症を生きるということ:授業紹介『社会福祉入門T』」(実習運営委員会からの依頼)
熊本学園大学発行.じっしゅうレター.第15号:7頁.2006年03月20日.

天田城介(AMADA Josuke)
脱稿:2006.01 最終更新日:2006.04


【原稿】

社会福祉入門Tゲスト講義「認知症を生きるということ」

 ●天田城介

 本学社会福祉学部では2005年11月28日(月曜日)4時限(14時40分〜16時10分)の「社会福祉入門T(第一部社会福祉学科必修科目)」にて、認知症当事者である越智俊二さん、そのパートナーである越智須美子さん、そして越智さんが利用するデイケアサービス「天神オアシスクラブ」の施設長である中島七海さんの3名をお招きし、ゲスト講義「認知症を生きるということ」を開催した。場所は熊本学園大学721教室にて行った。
 「社会福祉入門T」は、本学教員である花田昌宣、伊藤良高、中村俊也、山崎史郎、天田城介の5名で担当し、全13回の講義において、それまで履修生が各々抱き続けてきたステレオタイプ的な〈社会福祉〉の視線・イメージを捉え返し、自らの〈社会福祉〉の像を新たに構築しつつ、「対人援助実践コース」「福祉コミュニティコース」「福祉臨床・表現コース」「ケアソーシャルワークコース」「子ども家庭福祉コース」のいずれかを選択し、今後の学びを深めていくことの出発点になるようプログラムが構成された講義である。
 そのため、講義前半では重症心身障害児・者施設「第二びわこ学園」を舞台にそこでの当事者の生きる世界を丹念に描出したドキュメンタリー「わたしの季節」を上映した上で、監督である小林茂さんにゲスト講義として登壇していただいた。したがって、越智さんら3名によるゲスト講義「認知症を生きるということ」もまたそうした文脈の中で意味を有するものであり、また全体における位置づけを占めるものとして企画したものであった。
 講義については紙幅の関係上、詳細に論じることは困難であるが、履修者の学生の多くが 「認知症になると、何も分からなくなる」「認知症になると、何もできなくなる(考えられなくなる)」「認知症になると、自らの障害への自覚がなくなる」「認知症になると、周囲に対する配慮を欠くことになる」「認知症になると、自分の世界に埋没してしまう」「認知症となると、意味もない言動を繰り返すようになる」といった、言わば「痴呆恐怖」に彩られた「認知症神話」」と呼ぶべき観念を自らの内において“ひっくり返す”ような機会になったのではないかと思う。当事者である越智俊二さんからの強い他者への信頼に裏打ちされたメッセージ、あるいはコトバにならないメタ・メッセージによって、私たちは自らの既存のイメージがいかにデタラメで、かつ当事者を幾重にも深い苦悩と葛藤に陥れるものであるかと痛感することが可能になった。また、越智須美子さん、中島七海さんが心を開いて話してくださったお陰で、私たちは自らの内に様々な「問い」を立て直し、その問いに対して真摯に考えあぐねなければならないことを痛感することになった。私たちは当事者からの言葉に心傾け、その言葉から惹起した「問い」の深淵さに拘泥しなければならない。

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